鳩山町と鳩山家との関係(鳩山一郎・鳩山由紀夫)鳩山一郎・鳩山由紀夫両氏の訪問
鳩山一郎・由紀夫両氏の来歴と影響力
鳩山一郎は戦前から活躍し、1954~56年に首相を務めた政治家であり、戦後は自由党(後の自民党)結成に大きく関わった。東京都文京区に鳩山会館を建設し、自由党(現自民党)結成や日ソ国交回復交渉の下準備を進めた拠点とした。その家系から、鳩山由紀夫・邦夫兄弟ら政治家が輩出されている。鳩山由紀夫氏(1947年生)は一郎氏の孫で、1976年にスタンフォード大で工学博士号(Ph.D.)を取得後、政界に転じた。1986年の初当選以降、自民党に所属したが、1993年に新党さきがけを結成、2009年には民主党代表に就任し同年の総選挙で54年ぶりの政権交代を実現、第93代内閣総理大臣となった。由紀夫氏の母方の祖父にはブリヂストン創業者・石橋正二郎がいるため、経済界とも深い縁がある。
鳩山由紀夫氏は、政治思想として祖父以来の「友愛」を重視し、個人の尊厳を基盤としたリベラル路線を標榜した。またこうした「友愛」理念は鳩山友愛塾や青年友愛同志会(日本友愛協会)など多くの組織に継承されている。国内では政治資金問題も報じられたが、現在も各界に発言力を持つ存在である。
鳩山家と関連組織・人物との関係
鳩山由紀夫氏は政界退任後も公益財団法人「友愛」理事長、東アジア共同体研究所理事長、AIIB(中国主導のアジアインフラ投資銀行)国際諮問委員会委員などを歴任し、国際的活動を続けている。自身の「友愛」理念にちなみ、鳩山友愛塾・青年友愛同志会(日本友愛協会)など友愛を冠する組織を設立し、国内外の交流・政策提言を行っている。また2010年には元北朝鮮工作員の金賢姫氏を軽井沢の別荘に迎えて注目を集めたほか、旧統一教会(世界平和統一家庭連合)の行事に出席して祝電を送ったことも認め、謝罪している。日ロ関係では鳩山氏が日本・ロシア協会(NPO)会長を務める。本人も記者会見で「祖父の頃から鳩山家ではロシアとの関係が重要だった」と述べ、北方領土問題への関与を強調している。
鳩山由紀夫氏の訪問歴
2009年9月(米国訪問) – 首相就任直後の9月21日、初の外遊先として米国ニューヨークを訪れ、国連総会やG20財務相会合に出席した。オバマ大統領やメドベージェフ露大統領と会談し、国連や気候サミットで演説を行う予定だった。
2009年10月(韓国訪問) – 10月9日、就任後初の国賓訪問先として韓国を訪れ、李明博大統領と会談した。李氏は「就任後初めての海外訪問」と述べ、鳩山氏は日韓両国の文化的近さに触れ、両国関係を「一層近いものにしたい」と語った。
2009年12月(インド訪問) – 12月27~29日にインド(ムンバイ、デリー)を公式訪問。12月29日にマンモハン・シン首相と戦略対話を行い、「日印戦略的グローバル・パートナーシップ」の強化で合意し、共同声明を出した。
2010年4月(核安全保障サミット) – 4月12日、ワシントンでの核安全保障サミットに参加し、胡錦濤・中国国家主席と会談した。両首脳は日中を「戦略的互恵関係」と位置づけ、関係強化で一致した。
2010年5月(日中韓首脳会議) – 5月30日に韓国・済州島で開かれた日中韓首脳会議に参加し、「東アジア共同体構想に基づき経済連携や人的交流を進める」意向を示し、中国・韓国との協力強化を訴えた。
2012年4月(イラン訪問) – 元首相として議員資格でイランを訪問。4月7日にテヘランでサレヒ外相と会談し、被爆地に触れて「核兵器はどの国も持つべきではない」と発言した。8日にはアフマディネジャド大統領との会談が予定されていたが、イラン政府は「IAEAの二重基準」を鳩山氏が批判したと発表(後に修正)し、日伊で論争を呼んだ。
2015年3月(クリミア訪問) – 鳩山氏は2015年3月10~12日、ロシア編入後のクリミア半島を訪問する意向を示した。記者団に「住民の意思を確認したい」と語り、住民投票の真意を調査する姿勢を示した。
訪問に関する歴史的文脈
民主党政権下の外交は、52年ぶりの政権交代後に掲げられた「友愛外交」を反映していた。韓国やインドなど近隣・新興国重視の姿勢は従来自民党政権からの転換と受け止められた。2010年5月の日中韓首脳会議で鳩山氏は『東アジア共同体構想』に基づく協力強化を訴え、近隣諸国との一体化を目指す姿勢を鮮明にした。政権退陣後も鳩山氏は独自の外交路線を追求し、クリミア訪問後の記者会見で「日本を真の意味で独立した国家にしたい」と述べ、米国依存脱却の意図を明言した。このように鳩山一郎から由紀夫に引き継がれた「友愛」の理念やロシア重視の外交姿勢が、由紀夫氏の訪問活動にも一貫して反映されていると言える。以上のように、鳩山由紀夫氏の外交・訪問活動は、祖父・一郎以来の政治理念や家系の歴史的背景と結びつきながら、日本外交にも大きな影響を与えたと言えよう。
出典: 鳩山一郎・由紀夫氏の経歴や発言・訪問記録は各種報道資料や外務省文書に基づく。訪問の背景や関連組織との関係は鳩山家の歴史や公式発表からまとめた。