埼玉県立鳩山高等学校にゆかりのある著名人総覧
埼玉県比企郡鳩山町に所在する埼玉県立鳩山高等学校(通称「鳩山高校」)は、1983年開校の公立高校です。普通科と情報管理科を有し、2023年度で生徒募集を停止し近隣校との統合が予定されています。その歴史の中で、鳩山高校からは各界で活躍する人物を輩出してきました。特に部活動ではスポーツ分野の実績が顕著で、陸上競技部は男子・女子ともに1990年代に全国高校駅伝に出場し、当時全国屈指の強豪だった埼玉栄高校の牙城を崩す活躍を見せました。こうした環境の下、鳩山高校で才能を育み羽ばたいた卒業生・関係者を、ジャンル別に詳しく紹介します。
スポーツ界で活躍する卒業生
清水都貴(元プロ自転車ロードレーサー)
清水 都貴(しみず みやたか、1981年生まれ)は、鳩山高校出身の元自転車ロードレース選手です。在学中の1990年代後半、当初は陸上競技部に所属していましたが、高校在学中に自転車競技へ転向しました。鳩山高校卒業後は鹿屋体育大学へ進学し、本格的にロードレース選手の道を歩みます。
大学卒業後、国内トップチームのブリヂストン・アンカーなどに所属し、欧州遠征も含めプロとして活躍しました。2008年にはフランスのステージレース「パリ〜コレーズ」で総合優勝を果たし、日本人として初めてUCI1クラスのステージレース総合優勝という快挙を成し遂げています。さらに国内でもツール・ド・熊野(2008年)やツール・ド・北海道(2010年)など複数のステージレースで総合優勝を飾りました。プロ入り当初は山岳を得意とするクライマーでしたが、次第にスプリント力も磨きオールラウンダーとして活躍の幅を広げました。2014年に現役を引退しましたが、その輝かしい実績は鳩山高校が生んだスポーツスターとして語り継がれています。
※清水氏の在籍年代:1990年代後半(平成10年前後に鳩山高校在学)
菊地祐江(女子プロゴルファー)
菊地 祐江(きくち さちえ、1975年生まれ)は、埼玉県比企郡出身で鳩山高校の卒業生です。高校在学中にゴルフを始め、18歳という比較的遅い年齢から競技に取り組みました。鳩山高校卒業後(在学は1990年代前半)も研鑽を積み、2007年に日本女子プロゴルフ協会(JLPGA)にプロ入会を果たしています。当時32歳でのプロテスト合格は“遅咲き”とも言われましたが、選手としてツアー参戦への道を切り拓きました。
プロ転向後は2007年から2008年にかけてJLPGAツアーに参戦し、翌2008年には賞金を獲得。主な戦績としては、クリスタルガイザーレディスゴルフトーナメントで26位タイに入ったのが自己最高成績で、樋口久子IDC大塚家具レディスで28位タイになるなど健闘しました。レギュラーツアーでは上位進出こそ限られましたが、その後もステップ・アップ・ツアー(下部ツアー)に挑戦を続けました。
現役ツアーから退いた後は、地元埼玉の飯能グリーンカントリークラブ所属のレッスンプロとして活動しています。ツアープロとしての経験を活かし、一般ゴルファーに指導を行う傍ら、自身もシニアツアーや競技会に参加するなどゴルフ界に貢献しています。高校時代に芽生えたゴルフへの情熱を生涯のキャリアとした好例と言えるでしょう。
※菊地氏の在籍年代:1990年代前半(平成5年前後に鳩山高校在学)
松下奈央(女子プロゴルファー・インストラクター)
松下 奈央(まつした なお、1998年生まれ)は、東京都板橋区出身ですが、高校は埼玉県立鳩山高等学校に進学し卒業しました。鳩山高校ゴルフ部に所属し、2010年代半ば(平成26~29年頃)の在学中に数々の実績を残しています。高校2年時の2014年には関東高等学校ゴルフ選手権の埼玉県予選を勝ち上がり、関東大会・全国大会の常連として活躍しました。翌2015年には埼玉県女子アマチュアゴルフ選手権で準優勝という快挙を遂げ、在学中から頭角を現しています。
卒業後、松下さんはプロゴルファーの道に進み、JLPGA(日本女子プロゴルフ協会)のティーチングプロ資格A級を取得しました。いわゆる“黄金世代”と呼ばれる1998年生まれの一人であり、レッスンプロとして活動する傍ら、自身もツアープロを目指してQT(予選会)に挑戦する日々を送っています。実際にJLPGAツアー下部のネクストヒロインツアーなどにも参戦しており、その様子はファン向けのSNSやYouTubeレッスン動画等でも発信されています。
現在は都内のインドアゴルフ施設でパッティングコーチを務めるなど指導者としても活躍しつつ、「飛距離アップ」や「スコアメイク」の指南役としてメディア出演も増えています。高校時代に培ったゴルフの実力と礼節は、彼女の指導やプレーに活かされており、鳩山高校ゴルフ部出身のプロとして後輩たちの目標となっています。
※松下氏の在籍年代:2010年代中盤(平成26~29年に鳩山高校在学)
芸能・文化分野で活躍する卒業生
渡辺光(俳優)
渡辺 光(わたなべ ひかる、1985年生まれ)は、埼玉県出身の俳優です。鳩山高校を2000年代前半に卒業後、本格的に芸能界を志し現事務所のホットロードに24歳で所属しました。以後、俳優業の下積みを積むとともに、人気俳優・桐谷健太さんの付き人(アシスタント)として約10年以上にわたり支え続けていることで知られます。桐谷さんの付き人としてテレビ朝日の番組「あいつ今何してる?」や日本テレビの「しゃべくり007」でもエピソードが紹介され、その人柄の良さが話題となりました。
俳優としての渡辺さんは、エキストラや端役からキャリアをスタートさせ、徐々に活動の幅を広げています。2011年前後からテレビドラマに出演し始め、2019年のNHK連続テレビ小説『まんぷく』に出演した際には桐谷健太さんと同じシーンで共演を果たしました。他にも2019年放送のTBSドラマ『4分間のマリーゴールド』、WOWOWの『坂の上の赤い屋根』、テレビ東京の『Qrosの女』など多数のテレビドラマに出演し、着実に実績を重ねています。映画でも北野武監督の『首』(2023年)や是枝裕和監督作品『ある男』(2022年)、沖縄が舞台の『ミラクルシティコザ』(2022年)など話題作に脇役として登場しています。
桐谷健太さんの付き人として培った現場経験は、渡辺さん自身の演技にも生かされており、共演者やスタッフから信頼を寄せられる存在となっています。地道な努力の積み重ねにより俳優としての露出も増えつつあり、「鳩山高校出身の俳優」として今後更なる飛躍が期待されます。
※渡辺氏の在籍年代:2000年代前半(平成14~16年頃に鳩山高校在学)
その他の関係者・補足
鳩山高校には上記のほかにも、多様な分野で活躍する人物との関わりがあります。例えば、鳩山町出身で高校時代に同校で学んだのち企業スポーツで活躍した選手や、部活動の指導者となった卒業生なども存在します。陸上長距離の分野では、鳩山高校陸上部で全国駅伝を経験した福士将史さん(1998年卒業)は東洋大学進学後、実業団の新電元工業陸上部で選手として活躍しました。また、近年では鳩山高校出身ではないものの、町ゆかりの著名人が学校行事に参加する例もあり、地域と学校との繋がりが話題になることもあります。
総括
鳩山高等学校は決してマンモス校ではありませんが、地元密着型の教育環境の中で個々の才能を伸ばし、スポーツ界・芸能界など幅広いジャンルに人材を送り出してきました。部活動で培った経験や地域の支えを糧に、それぞれの道で成果を残す卒業生たちの存在は、後に続く在校生や地域の誇りとなっています。鳩山高校ゆかりの有名人たちの活躍は、今後も鳩山の地から羽ばたく若者への大きな励みとなることでしょう。