鳩山町と最も関係が深い3つの駅
埼玉県比企郡に位置する鳩山町は、町内に鉄道駅が1つもない珍しい自治体です。全国的にも鉄道駅を持たない自治体は数少なく、埼玉県内では他に三芳町(入間郡)など極めて限られます。そのため、日々の通勤通学や買い物、観光などあらゆる移動の際に、隣接する市町の鉄道駅を利用する必要があります。特に都心方面へのアクセスや町外からの来訪においては、周辺の鉄道路線とバス・車を組み合わせた移動が欠かせません。
鳩山町は首都圏近郊の自然豊かな住宅地で、東京都心から約50km圏内に位置し、人口約13,000人が暮らしています。緑に囲まれた落ち着いた環境が魅力ですが、鉄道駅がないことは暮らしやすさの面で注意すべき特徴です。そのため、周辺の鉄道駅へのアクセスを確保することが生活圏づくりの要となっており、バス路線の充実や乗合タクシーの運行など、行政も「ラストマイル」を支える交通サービスの拡充に力を入れています。一方で、鉄道が通らない分、町内では列車の騒音や沿線開発による混雑が少なく、豊かな自然環境と落ち着いた暮らしが守られているという利点もあります。
では、鳩山町民が最も利用し、町との結び付きが深い鉄道駅はどこでしょうか。町の地理的な位置関係から見て、鳩山町を取り囲むように存在する鉄道路線上の駅のうち、特に利用頻度が高いのは高坂駅(南西方向)、坂戸駅(南東方向)、そして明覚駅(北方向)の3駅です。以下ではこれら3駅の特徴や役割、鳩山町からのアクセス方法、駅周辺環境について詳しく解説します。なお、鳩山町から池袋駅まではバスと電車の乗り継ぎで約1時間強、川越市街へは30〜40分程度で到達でき、首都圏近郊の町として十分な交通圏内に入っています(大宮駅方面へも約1時間でアクセス可能です)。
高坂駅(東武東上線)
東武東上線の高坂駅は、鳩山町の南西側に位置する埼玉県東松山市にある駅です。東武東上線の急行停車駅であり、池袋駅までは急行電車で約50分(ICカード運賃で約620円)と都心へのアクセスに優れています。1日の平均乗降人員は約23,674人(2024年度)と比較的多く、近隣の大学キャンパス利用者に加えて鳩山町からの利用者も多いことがうかがえます。朝夕の通勤時間帯には本数の多い急行・準急電車が利用でき、都心方面への通勤通学の利便性が高い駅と言えます。
鳩山町から高坂駅への主なアクセス手段は路線バスです。駅西口からは川越観光バスの「鳩山ニュータウン」行き路線バスが終日15〜30分間隔で発着しており、約20分の乗車で鳩山ニュータウン中央バス停(鳩山町南西部)に到着します。運賃は大人片道300円前後で、ニュータウン地区や鳩山高校周辺を含む町南西部・西部の主要な足として多くの町民に利用されています。バスは朝の通勤時間帯に増発され、夜も遅い時間まで運行しているため、高坂駅発着の電車に合わせて柔軟に利用できるのが特徴です。
高坂駅周辺の環境も鳩山町民にとって魅力的です。駅東口から約1.2kmの場所には大型ショッピングモール「ピオニウォーク東松山」があり、衣料品店や家電量販店、スーパーマーケットなど多彩な店舗が揃います。日用品や食料品の買い出しにも便利なため、鳩山町から車で訪れる買い物客も少なくありません。駅前にはコンビニエンスストアや飲食店が点在し、ちょっとした用事を済ませるにも困らないでしょう。駅西口には広いバスロータリーと駐輪場が整備されており、鳩山町方面へのバス乗り換え拠点として機能しています。周辺は閑静な住宅街ですが、近隣には大東文化大学東松山キャンパスがあり学生の利用も見られるため日中は程よい活気があります。鳩山町にとって高坂駅は生活圏の玄関口であり、多くの住民が日々利用する欠かせない交通拠点となっています。
坂戸駅(東武東上線)
坂戸駅は鳩山町の南東に位置し、東武東上線の中でも主要な駅の1つです。快速急行やTJライナーなど全ての種別の列車が停車し、池袋駅へは急行で約50分と高坂駅と同程度の時間で到達できます。また、坂戸駅始発の急行電車が設定されている時間帯もあり、都心通勤で座席を確保したい人には魅力的なポイントです。1日の平均乗降人員は約28,330人(2024年度)と多く、東上線沿線のハブ駅として賑わっています。
鳩山町方面へのアクセス手段として、坂戸駅北口からは川越観光バスの「大橋」行き路線バスが運行されています。このバスは鳩山町役場前や町北部の大橋地区までを約20分で結び、町役場やニュータウン北側地域への貴重な直通手段となっています。運行本数は日中で概ね毎時1本程度と多くはありませんが、1乗車200円という安価な町内循環バス(坂戸駅〜鳩山町内)も併せて運行されており、こちらは町内各地への移動に役立っています。特に朝夕のラッシュ時には、高坂駅経由のバス路線が混雑した際の代替ルートとして坂戸発の循環バスが活躍し、町民の通勤通学を支えています。
坂戸駅周辺は都市的な利便性に優れており、鳩山町民にとっても生活圏に組み込まれています。2011年に駅舎がリニューアルされ、快適に利用できる駅施設が整備されました。北口側には2018年開業の複合商業施設「アクロスプラザ坂戸」があり、スーパーマーケットのマルエツやドラッグストアなど日常の買い物に便利な店舗が揃います。銀行や飲食店、クリニックなども駅周辺に豊富に揃い、鳩山町からバスや車で訪れて用事を済ませる姿も見られます。また、駅前ロータリーには常時タクシーが待機しており、深夜にバスが無い場合でも帰宅手段を確保しやすい点は安心材料です。坂戸駅は東武越生線の分岐駅でもあり、川越市方面や越生方面への乗り換え拠点としても機能しており、地域の交通ハブとして重要な役割を担っています。駅利用者が多く人通りも絶えないため、防犯面でも駅前は明るく安心感があります。総合すると、坂戸駅は鳩山町にとって行政・経済面で関わりの深い中心拠点と言えるでしょう。
明覚駅(JR八高線)
JR八高線の明覚駅は、鳩山町の北側近くに位置する比企郡ときがわ町の駅です。八高線を使うと、埼玉県内では高麗川で川越線に接続して川越・大宮方面へ行くルートや、南方向では八王子を経由して東京都心南西部や横浜方面へ至るルートが選択できます。ただし都心中心部への所要時間は東武東上線利用に比べて長く、例えば東京駅までは電車を乗り継いで約1時間45分(運賃約1,340円)ほどかかります。列車の本数も日中は概ね毎時1本程度と少ないため、利用する際は時刻表の確認が欠かせません。明覚駅の1日平均利用者数は公表されていませんが、推計では数百人規模と見られ、八高線沿線の中でも利用者はかなり少ない部類です。
鳩山町と明覚駅を直接結ぶ路線バスはありませんが、町北部からJR線を利用するための代替経路が整備されています。鳩山町営バスの「北部線」を利用すれば、高坂駅西口から町北部の上熊井・大橋地区を経由して隣駅の越生駅(JR八高線・東武越生線)東口までアクセス可能です。越生駅でJR八高線に乗り換えれば1駅で明覚駅に着きます。また、大橋地区(鳩山町北端付近)から明覚駅までは自家用車や自転車でも約10分と比較的近距離であり、北部の住民の中には駅まで直接車で出てJR線を利用するケースもあります。明覚駅自体には鳩山町営の公共交通が乗り入れていないものの、こうしたルートを組み合わせることで町民もJR八高線を活用できます。
明覚駅周辺の環境は長閑な田園風景が広がるローカル色の強い環境です。駅前に商店や飲食店はなく、最寄りのコンビニエンスストアまでも1km以上離れています。無人駅で終日駅員はおらず、ホームもこぢんまりとして静かな雰囲気です。ただ、駅前にはときがわ町が整備した無料駐車場(13台分)があり、平日は近隣住民がパークアンドライド目的で利用する姿も見られます(長時間の駐車利用は不可)。また明覚駅は周辺のハイキングコースへの玄関口ともなっており、週末には周辺の自然を目的に訪れる人の姿も見受けられます。鳩山町民の利用頻度自体は高坂・坂戸の両駅に比べると限定的ですが、町北部の住民にとってJR線を利用できる貴重な選択肢と言えるでしょう。
鳩山町と各駅を結ぶ交通手段
路線バス
鳩山町内と周辺駅を結ぶ主な路線バスは以下の3系統です。
- ニュータウン線(高坂駅西口〜鳩山ニュータウン): 平日・休日とも1日を通して発着本数が多い幹線系統で、概ね15〜30分間隔で運行されています。鳩山ニュータウン中央バス停まで約20分で到着し、ニュータウン地区や鳩山高校方面への移動に便利です。また、深夜帯までバスが運行されており、池袋発の最終電車にも接続しています。
- 大橋線(坂戸駅北口〜鳩山町大橋地区): 鳩山町役場や大橋地区方面へ向かう路線で、所要約20分。日中の運行頻度は毎時1本程度ですが、町北東部への貴重な直通公共交通として機能しています(町役場前を経由)。
- 町営バス北部線(高坂駅西口〜越生駅東口): 鳩山町が運行するコミュニティバスで、上熊井・大橋地区を経由してJR八高線・東武越生線の越生駅まで南北に縦断するルートです。1日の運行本数は限られますが、町北部からJR線方面への貴重な足として利用されています(運賃は全線200円均一)。
この他、町内を循環するコミュニティバス(鳩山町内循環バス)も運行されています。コミュニティバスは1乗車200円と安価で、住宅地と役場・診療所・商業施設などを結び、高齢者や買い物客の移動を支援しています。また、雨天時や道路渋滞時には路線バスが遅延することもあるため、重要な予定がある日は早めのバスに乗る、または代替ルートを検討するなど時間に余裕を持った行動が推奨されます。
自転車でのアクセス
鳩山町内の多くの地域は最寄り駅まで4〜6km程度の距離で、自転車を使えば15〜20分ほどで駅に到達できるエリアが広がっています。高坂駅・坂戸駅ともに駅前に有料駐輪場が整備されており、日中の駐輪や定期利用も可能です。自転車で駅まで向かう場合、天候が急変した場合に備えてあらかじめバスの時刻を頭に入れておくと安心でしょう。また、夜間は街灯が少ない道路もあるため、明るいうちにルートの段差などを確認し、反射材を着用するなど安全対策を講じることが重要です。自転車と公共交通を組み合わせることで、マイカーが無くても比較的自由に移動できる環境が整っています。
車でのアクセス
鳩山町は幹線道路や高速道路ICにも近接しており、自家用車での移動も便利な地域です。町内からは関越自動車道の東松山IC・鶴ヶ島IC、さらに首都圏中央連絡道路(圏央道)の坂戸西スマートICへそれぞれ車で約15〜20分でアクセス可能です。高速道路網を活用すれば、東京都心や群馬・栃木方面への移動時間も短縮でき、鉄道駅がない鳩山町において自動車は重要な移動手段となっています。駅までの送り迎えや、駅周辺の駐車場を利用したパークアンドライドも盛んで、ライフスタイルに応じて柔軟に交通手段を選べるのが鳩山町の特徴です。
まとめ
鳩山町と深い関係にある3つの鉄道駅、高坂駅・坂戸駅・明覚駅について、それぞれの役割や特徴、町との結び付き方を見てきました。町内に鉄道駅が無いハンディキャップを抱えながらも、鳩山町の人々はこれら周辺駅へのアクセス手段を巧みに活用し、通勤・通学から買い物、レジャーに至るまで日々の生活を支えています。なお、高坂駅・坂戸駅の1日平均乗降人員は2024年度でそれぞれ約23,000人台・28,000人台となっており、沿線でも主要駅として賑わいを見せています。対照的に明覚駅の利用者は数百人規模にとどまり、ローカル駅ならではの静けさが感じられます。
高坂駅と坂戸駅は東武東上線による首都圏への玄関口として機能し、利便性の高い鉄道と充実した周辺施設を背景に、鳩山町民の生活や経済活動と強く結び付いています。また、鳩山町の中高生が坂戸市・川越市など町外の学校へ通学する際や、町内にある鳩山高校へ坂戸市・東松山市方面から通う際にも、これらの駅とバスの組み合わせが利用されています。対照的に、明覚駅は利用頻度こそ限られるものの、JR線へのアクセスオプションや自然豊かなレジャーの窓口として存在感を放っています。これら3駅と鳩山町を結ぶバス路線や道路網の整備も進み、移住希望者や観光客にとっても「駅が無い町」の不便さを補う十分な環境が整いつつあります。
実際に鳩山町への移住を検討する場合や観光で訪れる場合は、自身の目的や居住エリアに応じて最適な駅と交通手段を選ぶことがポイントです。例えば、都心方面へ日常的に通勤するのであれば、高坂駅や坂戸駅を起点とした路線バス利用が便利で、鳩山ニュータウンなど町南西部に住む場合は高坂駅経由のルートが本数も多く使いやすいでしょう。町北部に暮らす場合は坂戸駅へのバス路線に加え、行き先によっては明覚駅まで車で出てJR線に乗る方法も選択肢となります。観光目的で訪れる際にも、事前に目的地に近い駅とバス時刻を調べておくことでスムーズに移動できるでしょう。
鳩山町役場のウェブサイトでは町内の公共交通マップや時刻表が公開されており、路線バスやコミュニティバスの経路・運行時間を把握するのに役立ちます。駅が無いというハンデも、事前に情報を収集して計画的に移動すればさほど不便に感じません。鉄道・バス・車・自転車を上手に組み合わせ、鳩山町ならではの豊かな暮らしや旅を存分に楽しんでみてください。
鳩山町では今後も公共交通の改善や地域インフラの充実が期待されます。例えば2020年には町営バス北部線の経路を延長し、終点を越生駅東口まで伸ばすことでJR八高線への接続性向上が図られました。また、町内循環バスは特定の時間帯・曜日に予約型の乗合タクシー(デマンド交通)へ切り替える柔軟な運行を実施し、高齢者や交通弱者のニーズに応えています。都心から約50km圏内という地の利を生かし、静かな田園都市でありながら快適に外部と繋がることができる鳩山町は、通勤者にも子育て世帯にも魅力的な地域と言えるでしょう。静かさと利便性を兼ね備えた鳩山町は、バランスの取れた暮らしを求める人々にとって今後も注目される存在であり続けるでしょう。鉄道とバス、車、自転車を組み合わせた柔軟な移動スタイルが可能な鳩山町で、あなたも豊かな暮らしを実現してみませんか。



