鳩山町役場 総務課の概要
1.総務課の役割と所管業務
総務課は地方自治法に基づき、町長部局の統括機関として位置づけられる中核部署です。主な所管業務は次の通りです。まず庶務・文書管理では、公文書の収受・発送から条例・規則の立案支援、行政文書の保存・公開、個人情報保護法対応までを実施し、年間約2,000件を超える文書取り扱いを適正に運用します。議会運営支援では、議案資料の作成・配布、公報の発行、会議録の編集・保存管理を行い、定例会・臨時会を合わせて年6回以上の議事運営を支えます。選挙管理委員会及び固定資産評価審査委員会の事務局機能として、選挙人名簿管理、投票所設営、開票補助、審査会議の運営を担い、住民の公正な権利行使を支援します。さらに電話交換業務、庁舎施設管理、庁舎内防犯・防災設備の点検調整、公用車や公用バスの運用管理など、庁内インフラの保守・管理を行います。
2.組織体制と機能分担
令和6年度現在、総務課は約15名の職員で構成され、次の3グループに分かれています。
(1)秘書企画室
町長秘書業務として、公務日程調整、来客対応、式典運営を行うほか、企業誘致や地域未来投資促進法の活用支援、企業版ふるさと納税による財源確保策、広報誌「はとやま通信」の企画編集、町のブランド戦略立案などを担当。外部コンサルタントや商工会議所、金融機関などと連携し、年間約40件のプロジェクトを実施し、移住定住促進や地域活性化を推進します。
(2)秘書・総務・検査担当
公文書管理、防災行政無線・緊急情報配信システムの運用、統計調査(国勢調査、経済センサス等)の取りまとめ、文書電子決裁システムとマイナンバー管理、公共工事の出来形検査および契約履行確認を担います。工事検査は年間約30件を実施し、品質確保と内部統制を支えています。防災訓練は地域自主防災組織との合同訓練を含め年2回以上行い、非常時の庁内対策本部事務局を務めます。
(3)職員・人権政策担当
職員人事管理業務として採用試験運営、人事異動、給与・賞与計算、福利厚生制度運用、服務規程の策定と評価制度の運用を実施します。加えて人権政策推進協議会の運営、多文化共生支援、高齢者見守りネットワーク構築、無料法律相談窓口を設置し、年間約200件の住民相談に対応。男女共同参画や障がい者福祉、児童虐待防止など幅広い人権啓発事業を年間10回以上開催しています。
3.業務プロセス改善と効率化
平成30年度から進めた組織再編により、課・室数を15から10に統合しながら職員数を適正化。週1回の課長会定例化で迅速な意思決定を実現し、部門横断的な情報共有を強化しました。電子入札システムを導入した結果、参加事業者数は前年比20%増加。電子決裁率は導入初年度で85%、現在は90%超を維持し、紙文書を年間約10万枚削減しています。またRPAやOCRを活用した文書処理自動化によって、職員一人当たりのデータ入力時間を月間約10時間削減し、住民対応の迅速化と職員の負担軽減を図っています。
4.防災・危機管理の強化
近年の豪雨災害増加を受け、防災行政無線設備の耐震化工事を実施し、多言語放送機能を追加。スマートフォン向け緊急情報アプリを開発・導入し、SNS連携によるリアルタイム情報配信を運用開始。地域自主防災組織と合同で年2回以上の避難訓練を実施し、住民の避難行動力向上に貢献しています。非常時は庁内外の関係機関(警察・消防・医療機関・ライフライン事業者)と連携し、対策本部の事務局を総務課が担います。
5.財政健全化と指定管理者制度
財政状況の改善を図るため、公共施設8館を指定管理者制度に移行し、民間ノウハウ活用による施設運営で年間約500万円の運営コスト削減に成功。企業版ふるさと納税の推進で令和5年度は約3,000万円の納税額を確保し、子育て支援事業や公園整備に充当。さらに民間イベント主催者との共同事業を展開し、観光誘客と地域経済活性化を両立させています。
6.町民・他部門との連携
町長対話集会を年5回開催し、約1,300件の住民意見を収集し、そのうち約70%を施策化。地区自治会長との定例意見交換を年4回実施し、道路補修要望や防犯灯設置の要望を土木課・環境課へ速やかに共有し、改善プランを策定。警察・消防・自主防災組織と合同で年20回以上の防災パトロールや交通安全教室を開催し、地域の安心安全度向上に寄与。庁内連携では政策財政課、税務会計課、産業振興課など全9課と情報を共有し、施策間の重複や縦割りを排除して総合的なまちづくりを推進します。
7.人材育成と多能工化
総務課では職員の多能工化を図るため、業務横断型研修を年3回実施。DX研修、危機管理演習、行政文書管理研修、RPA活用研修などを実施し、職員が複数分野を横断して担当できるスキルを養成。キャリアパス制度やメンタリング制度も導入し、新規採用者や異動職員の早期戦力化を支援しています。
8.今後の課題と展望
人口減少と高齢化が進行する中、さらなるAI・RPA導入による業務自動化とチャットボットによる住民対応の24時間化を検討。環境政策では再生可能エネルギー導入支援や街路樹管理のICT化を計画し、脱炭素社会への移行を総務課が統括。オープンデータポータルの構築や住民参加型ワークショップを通じ、透明性と参加型行政を強化し、住民との双方向コミュニケーションを深化させます。
9.まとめ
総務課は町政運営の縁の下の力持ちとして、庶務管理から戦略的企画、防災・危機管理、財政健全化まで幅広く担います。全庁的な調整力と住民本位の視点を併せ持ち、行政効率化や地域連携強化、持続可能なまちづくりを推進し、鳩山町の安心安全と活力ある未来を支え続けます。