鳩山町長の概要
鳩山町の現職町長・小川知也は、1996年生まれの20代で就任した全国最年少クラスの首長である。早稲田大学スポーツ科学部在籍時から町政への志を固め、東京ディズニーリゾート運営会社で接客と財務を学び、国会議員秘書を経て2024年7月の町長選挙に3136票で初当選した。就任後は「突破力で鳩山再生」を掲げ、対話集会や職員面談を重ねながら財政再建と人口減対策に取り組んでいる。
経歴と人物像
小川は鳩山町出身で、幼少期から野球に打ち込み、町スポーツ賞優秀選手を複数回受賞した。早稲田大学本庄高等学院を経て大学ではラクロス部の全国優勝に寄与し、2019年4月に株式会社オリエンタルランドへ入社、レストラン運営と財務を担当した経験が現在の行政運営に生きていると語る。
選挙戦と最年少当選
2024年7月7日の町長選挙は現職を含む4候補による激戦だったが、35回の対話集会で延べ1300人超と意見交換した姿勢が評価され、60.70%の投票率の中でトップ当選を果たした。全国町村会によると、当時28歳は町村長で最年少だった。
就任直後の庁内改革
就任1か月後に実施した全正規職員との一対一面談は、ディズニー時代のアルバイト面談手法を応用したもので、「笑顔の役場づくり」を目的に勤務環境と意欲を可視化した。面談シートの内容は町長限りとし、職員の率直な声を吸い上げた。
財政再建への見取り図
鳩山町は少子高齢化に伴う歳入減とインフラ維持費増で財政指標が悪化傾向にある。第6次総合計画では経営戦略とSDGs指標を連動させ、企業誘致とふるさと納税の拡充を財源確保の柱に据える方針を示しており、小川は就任会見で「厳しい財政を立て直す」と明言した。
企業誘致と産業振興
町内にはJAXA地球観測センターや理化学研究所の拠点があり、技術系ベンチャーとの連携余地が大きい。小川は役場内に専任チームを設け、研究成果の地域実装支援や空き施設のマッチングを進める構想を公表している。
人口減少対策
2025年1月の推計人口は約12900人で、2010年比で1割減。小川は移住促進策として住宅取得補助の拡充、子育て支援「はとやま子育てパッケージ」の見直し、テレワーク拠点整備を掲げる。若年層向けにSNSで町情報を発信し、早稲田大学OBネットワークを活用したUターン帰郷も呼びかけている。
ふるさと納税の強化
2023年度の鳩山町ふるさと納税受入額は約3億円で、町歳入の6%弱を占める。小川は返礼品のラインアップに町内養蜂家の蜂蜜や有機野菜セットを追加し、ポータルサイトを横断した寄附ページ統合で寄附者体験を改善すると公表した。
「対話」重視の町政運営
町公式SNSのライブ配信や「町長の出前トーク」を月2回実施し、町民の質問に即答する形式で透明性を高めている。対話で集まった意見は毎月末に政策カードとして庁内共有し、予算査定の資料に組み込む仕組みを導入した。
全国ネットでの情報発信
就任半年でテレビ番組出演や講演会を積極的にこなし、町の知名度向上を図った。幸福度ランキング上位のブランドと最年少町長の話題性を掛け合わせ、移住ポータルサイト経由の問い合わせが前年比3倍に伸びたと報告されている。
教育・スポーツ振興
スポーツ科学を学んだ知見を生かし、小中学校の部活動地域移行に合わせて町独自のクラブ育成補助を開始。さらに町立体育館に人工芝フットサルコートを整備する計画を2026年度予算案に盛り込む意向を示している。
福祉と地域包括ケア
高齢化率36%を見据え、地域包括支援センターと民間薬局を結ぶオンライン服薬指導の実証事業を開始。移動が困難な高齢者の利便性を高め、医療費抑制効果も期待される。
環境とSDGs
町境を流れる高麗川流域の水質保全と里山景観維持を目的に、森林ボランティアと協働した間伐プロジェクトを推進。木質資源を町営バイオマスボイラーで活用し、2030年度までに公共施設の電力由来CO₂排出3割削減を掲げる。
情報公開とDX
役場窓口混雑を解消するため、住民票・印鑑証明のオンライン請求とコンビニ交付を2027年度に全面稼働させるロードマップを公表。AIチャットボットを用いた問い合わせ対応の実証も開始した。
今後の展望
小川は任期4年間で「財政再建・人口13000人維持・職員満足度全国10位以内」を数値目標に設定している。達成の鍵は産業基盤の強化と横断的な住民参加にあり、若さと機動力を強みに「突破力で鳩山再生」を進める構えだ。
まとめ
20代で首長となった小川知也は、ディズニー流ホスピタリティと国会秘書経験を土台に、鳩山町の財政・人口・行政改革という難題に挑む。対話を軸にした政策形成とデータドリブンの財政運営は、人口1万人規模の自治体における次世代リーダー像を示す試金石となりつつある。町民・企業・大学を結ぶネットワークを生かし、「幸福度日本一の里山ニュータウン」を持続可能な形で実現できるかが、今後4年間の焦点である。