鳩山町長 小川知也氏の概要

鳩山町長を務める小川知也氏は１９９６年４月生まれの地域出身者である。地元の幼稚園から小中学校を卒業後、早稲田大学本庄高等学院を経て早稲田大学スポーツ科学部に進学。在学中は部活動や地域のイベント企画に参加し、卒業後の２０１９年に株式会社オリエンタルランドに入社。経理部やフード販売部で予算管理や商品開発を学び、会社の運営を支える業務を担当。２０２３年には衆議院議員秘書として国政の仕組みに触れ、政策立案や行政運営の経験を蓄積した。同年末に鳩山町へＵターンし、地域の課題解決に向けた構想を練ったのち、２０２４年７月の町長選挙に初出馬。投票率６０.７％の中で３１３６票を獲得し、現職を含む複数の候補を破って初当選。就任時２８歳で全国最年少の町長となった。

経歴

小川氏は地元鳩山町の公立小中学校を卒業後、早稲田大学本庄高等学院に進学し、高校卒業後は早稲田大学スポーツ科学部で学ぶ。在学中には地域ボランティアやスポーツ振興イベントの企画運営に携わり、地域との連携や企画力を身につけた。卒業後の２０１９年に大手企業である株式会社オリエンタルランドに入社し、経理部では予算管理や決算業務を経験。フード販売部では商品企画や販売促進を担当し、組織運営の基礎を学んだ。２０２３年には衆議院議員秘書に転身し、国政レベルでの政策立案や法案審議のサポートを行い、政治・行政の仕組みを研鑽。同年末に町政への関心を深め、鳩山町にＵターン。地域の少子高齢化や財政課題に対応するため町長選出馬を決意し、初当選を果たした。

主な政策

財政基盤の再建

鳩山町は人口約１万３０００人、高齢化率は約３０％を超え、税収が限られている。財政調整基金残高も年々減少し、行政サービス維持が課題となっていた。小川町長は財源確保策として以下を掲げた。まず、ふるさと納税の返礼品を拡充し、寄附金を増加させる。返礼品には地元農産物や加工品を選定し、町内事業者と連携した限定商品を開発。結果として寄附金額は８０００万円から１億円近くに増加した。次に、企業版ふるさと納税の活用を推進し、企業からの寄附を積極的に呼び込む仕組みを構築。さらに、空き家や遊休施設を活用した小規模企業誘致を進め、町外からＩＴ企業やテレワーク施設を誘致して住民税収を見込んでいる。これらにより歳入増を図り、財政基盤を回復する。

子育て・教育支援

少子化対策として子育て支援を強化し、「子育て日本一の町」を目指す政策を打ち出した。町立幼稚園・小中学校の給食費を完全無償化し、保護者の経済的負担を軽減。学童保育施設を拡充し、放課後児童クラブの定員を増員して待機児童を解消。保育所定員も１５人増加させ、保護者が安心して働ける環境を整備した。また、地域住民が参画するコミュニティスクールを導入し、放課後学習支援や放課後児童クラブで地域の高齢者がボランティアとして協力する体制を整え、地域が子どもを育む仕組みを醸成した。

高齢者・介護支援

高齢化率が約３０％に達する中、介護保険料の負担軽減と高齢者の健康維持を重視。介護保険料は令和６年度から月額４３００円に据え置き、県内最安水準を達成した。訪問介護ステーションを二か所新設し、介護サービスを身近に提供。公民館では介護予防教室や健康維持講座を定期開催し、住民の健康寿命延伸を目指す。さらに無料健康診断クーポンを配布し、早期発見・早期治療を促進する。

公共交通・地域振興

町内に鉄道駅がなく、交通インフラ整備が課題だった。小川町長はデマンド型乗合タクシー（予約制乗合タクシー）を拡充し、埼玉医科大学への路線に加え土曜日運行を開始。利用者数は前年比３０％増加し、高齢者や子育て世代の日常移動を支援する。将来的には隣接自治体と連携し、深夜バス路線を実証実験する計画を立て、夜間帰宅者や若年層の利便性向上を図る。併せて地元農産物のブランド化を推進し、梨やイチゴの生産量拡大を支援。直売所整備や加工品開発事業に補助金を交付し、地元農家の所得向上と観光客誘致を促進する。

就任後の成果

就任後一年で以下の成果をあげている。まず、ふるさと納税寄附額は前年対比約２０％増加し、寄附額は１億円規模に達した。デマンド交通利用者は前年度比で３０％増加し、移動支援効果を発揮。給食費無償化と介護保険料据え置きにより子育て世代と高齢者の経済負担を軽減し、住民満足度調査で「子育てしやすさ」や「高齢者福祉」が向上したと評価された。職員採用改革では応募資格年齢を拡大し、オンライン面接を導入。子連れ面接可能なキッズスペースを設置した結果、令和６年度中途採用に約７０人が応募し、前年の約７倍に増加。全国各地から応募があり、職員の多様化につながった。官民連携面でも進展が見られ、佐川急便・ＪＡ埼玉中央・アーベルソフト・エデュリー・アナザーワークスと包括連携協定を締結。物流やＩＴ、教育分野で連携し、住民サービス向上策を共同で推進している。

課題と今後の展望

鳩山町は少子高齢化と人口減少が続いており、今後も医療・介護費の増大や労働力不足が懸念される。財政状況は改善傾向にあるものの、依然として厳しいため、さらなる歳入確保策と歳出の効率化が求められる。公共交通の抜本改革には隣接市町との広域連携が不可欠であり、調整に時間を要する可能性がある。行政ＤＸ推進に伴い、高齢者層を含むデジタル弱者への対応策を講じなければ情報格差が拡大し得る。今後は「町民が主役の町づくり」を合言葉に、定期的な町民説明会を開催し、施策進捗を公開。住民からの意見を反映する仕組みを継続し、双方向のコミュニケーションを図る。教育面ではコミュニティスクールをさらに充実させ、地域ボランティアを活用した学びの場を拡大。学童保育施設を拡充し、待機児童ゼロを確実にする。高齢者支援としては訪問介護ステーションを増設し、令和８年度には特別養護老人ホーム２０床を開設して在宅支援体制を強化する予定。移住・定住促進では、町の自然環境やデジタル利活用を活かした「テレワーク拠点整備」に注力し、都市部からの若年層流入を狙う。併せて農産物ブランドを全国へ発信し、観光誘客施策を展開することで地域経済の活性化を図る。全国最年少町長として注目を浴びる小川氏の挑戦は始まったばかりであり、若さと行動力を武器に、町民と協働しながら持続可能なまちづくりを実現することが期待されている。