小鷹卓也（元プロ野球選手）のプロ野球での歩みと引退後

小鷹卓也（1955年生）は埼玉県鳩山町出身で、地元の少年野球チームで腕を磨き、小学4年生から野球を始めた。鳩山中学校ではエースとして活躍し、当時野球部のない中学も多い中で強豪校相手にも臆せず投げ続けて注目された。飯能高校（旧飯能西高校）に進学すると、2年生春からチームのエースに定着。県大会では二度のノーヒットノーランを達成し、1972年夏の県予選（甲子園大会埼玉県予選）でも準々決勝まで進出した。当時の小鷹は最速時速140キロの速球と切れ味鋭い変化球を武器にしており、その本格派投球で全国のスカウトの目に留まった。これらの実績が評価され、1973年のプロ野球ドラフト会議で千葉ロッテマリーンズ（当時ロッテオリオンズ）から2位指名を受けて入団した。

プロ入り後はロッテ・オリオンズ一筋で活躍し、ポジションは投手（左投左打）であった。身長181cm、体重90kgの長身左腕として期待され、入団から1978年までは背番号21、1979年以降は36を着用した。ロッテでは初期から優秀な先発投手が揃っていたため、1軍昇格前は主に二軍（ファーム）で経験を積んだ。1974年から1977年にかけては一軍出場のチャンスはほとんどなかったが、その間も地道に投球技術を磨き続け、結果として一軍公式戦への登板には5年近くを要することとなった。

1978年8月10日の南海ホークス戦（川崎球場）で1軍初登板を果たしたが、この試合が結果的に通算唯一の公式戦出場となった。9回表に救援登板し、1回1/3を投げて被安打1、被本塁打1、奪三振1、2失点（自責点2）という内容で試合を終えた。NPB公式記録によれば、この1試合のみで通算成績は1試合0勝0敗、防御率18.00であった。セーブやホールドも記録しておらず、打者としては打席0、打数0というデータが残っている。つまり、小鷹のプロ野球成績はこの1試合だけで終わっている。

現役時代の印象的なプレーは高校時代に集中しており、飯能高校時代には県大会で2度のノーヒットノーランを達成した。また、1972年7月24日の県大会では延長14回まで投げ抜いて21奪三振（試合は1-0で勝利）を記録した。この21奪三振は埼玉県高校野球大会の一試合最多奪三振記録に名を残す数字で、当時の県内屈指の投手として注目された。プロ入り後は制球に課題を抱えた時期もあったようだが、高校時代のこれら伝説的な投球は今でも語り草となっている。

1981年限りで現役を引退した。引退時点で26歳とまだ若かったが、一軍での結果を残すことができなかった。その後はロッテ球団で二軍投手コーチを経験し、指導者としての道を歩んだ。やがて故郷の鳩山町に戻ると、町内の中学校野球部監督などを務め、後進の育成に携わった。鳩山町では、プロ選手経験者として地域の野球関係者から一目置かれる存在となり、1970～80年代にプロ選手の輩出が少なかった地元の野球少年たちに大きな影響を与えた。

なお、引退後にテレビ解説者や企業チームの監督などに就任したという情報は見当たらず、現時点でも主に指導者として活動しているようである。実際、2025年現在も鳩山町で開催される少年野球教室に講師として招かれ、投球フォームの指導や野球の礼儀などを子どもたちに教えている。自分の経験を伝えることで、地域スポーツの振興に尽力している。

以上のように、小鷹卓也はプロではわずかな成績にとどまったものの、高校時代の伝説的な活躍と引退後の指導者活動によって知られる人物である。鳩山町や埼玉県内ではその歩みを評価する声があり、現在も地域スポーツの一翼を担う人物として注目されている。

主な経歴

1972年: 飯能高校在学中に県大会で2度のノーヒットノーランを達成し、延長14回で21奪三振を記録した。
1973年: 飯能高校からロッテオリオンズにドラフト2位で指名され入団。
1978年: 8月10日に1軍初登板。南海ホークス戦で5番手として登板し1回1/3を投げて2失点（防御率18.00）。
1981年: 現役引退。通算成績は1試合0勝0敗、防御率18.00に終わった。
引退後: ロッテ二軍投手コーチを経て故郷鳩山町の少年野球指導に携わる。2025年現在も鳩山町の少年野球教室に講師として招かれている。
通算成績: 1試合登板、投球回1回1/3、被安打1、被本塁打1、奪三振1、失点2、自責2、防御率18.00。

地元メディアでも小鷹氏の経歴はたびたび取り上げられており、例えば埼玉西タイムズには彼の歩みを紹介する特集記事も掲載されている。また、鳩山町に縁のある有名人としてローカルメディアに紹介される例もあり、町内の後進への影響力が語られている。現在も鳩山町の野球コミュニティで尊敬を集めており、通算成績はNPB公式サイトでも確認できる。