須江航氏のプロフィール（高校野球指導者としての経歴・所属校・実績など）と、埼玉県鳩山町との関係

須江航氏のプロフィールと経歴

須江航（すえ・わたる）氏は1983年4月9日生まれ、埼玉県比企郡鳩山町出身の高校野球指導者で、現在は宮城県仙台市の仙台育英学園高等学校野球部監督および同校情報科教諭を務めている。鳩山町内の小・中学校（松栄小、鳩山中）で遊撃手として野球を始め、地元の町内リーグでもキャプテンを務めた後、宮城県の強豪・仙台育英高校へ進学。卒業後は青森県の八戸大学へ進み、同大野球部で学生コーチを務め、練習プログラムの見直しや部員の技術分析を担当し、部員数の増加とチーム力の向上に寄与した。大学卒業後の2006年には仙台育英学園に情報科教諭として着任し、同系列の秀光中等教育学校（当時、中学部）の野球部監督に就任した。指導者としては、技術面だけでなくメンタルトレーニングや映像解析も導入し、選手の自己理解を深める取り組みを率先して行っている。

高校野球指導者としてのキャリア

須江氏はまず秀光中等教育学校野球部（中学軟式）で指導者として頭角を現した。2006年就任以降、部員たちに基本動作の徹底を図るとともに、外部講師を招いた特別講習を積極的に開催し、2010年から8年連続で全国大会に出場（通算11回）した。2014年には全国中学校軟式野球大会で優勝、以降2015年準優勝、2016・2017年ともに3位と安定した成績を残し、中学軟式野球界で名を馳せた。チームは練習試合でも地域強豪校を破るなど、その指導力が評価されていた。

2018年1月からは母校・仙台育英学園高等学校硬式野球部監督に就任し、高校指導者としてのキャリアが本格化した。須江監督の下、仙台育英は東北大会や春季大会で常に上位進出を果たし、夏の甲子園（全国高等学校野球選手権大会）では2022年8月に下関国際高校を破って優勝（東北勢として史上初の全国制覇）を達成した。続く2023年夏も決勝に進出して準優勝し、甲子園大会では夏4度出場・13勝3敗（2022年優勝、2023年準優勝）を記録。選抜高校野球（春の甲子園）にも3度出場しており、春夏通算では7度の甲子園出場（通算成績17勝5敗）を誇る。これらの実績は仙台育英を全国常連校に押し上げただけでなく、宮城県・東北地方の高校野球史に新たな1ページを刻むものとなった。部員の多くが大学野球や社会人野球でも活躍しており、進学実績の向上にも寄与している。

指導哲学・選手育成方針

須江監督は選手指導において、「叱る」より「説明」を重視するスタイルを貫いている。自身も「選手を叱る意味を年々感じなくなっている」「叱ったところで言葉が刺さらない」「公式戦で怒ることはまずない」と語り、必要以上の叱責を避け、丁寧な説明で選手を導くことを心がけている。また、対話（コミュニケーション）を極めて重要視し、就任1年目には生徒たちと一対一で徹底的に話を聞くことで信頼関係を築いた経験から、「6年間で最も大きな成功は甲子園優勝ではなく、一人ひとりとの対話を重視することに気づけたことだ」と語っている。

さらに、選手の自主性・主体性を重んじる。仙台育英野球部への入部を希望する生徒には「自分で考えて行動できる習慣がないと合わないかもしれない」と伝え、家庭でも「〜しなさい」と言われず自分でやる習慣を持つ生徒を求める方針だという。須江監督自身「指示待ちでやらされている選手よりも、主体的に自分で取り組む選手の方が習熟が早い」と話し、同じ能力の選手同士でも、自主的に練習に取り組む者ほど成長が早いと考えている。また、データ分析や映像レビューを通じて客観的評価を行い、選手自身が課題を視覚化できる仕組みを構築している。

以上をまとめると、須江監督は
叱責より説明：叱っても選手には届かないとして、丁寧な言葉かけで導く。公式戦中もほとんど怒らない。
対話重視：選手一人ひとりと個別に対話し、彼らの声に耳を傾ける。就任当初、指導よりも対話を徹底した経験を「最大の成功」と語る。
自主性尊重：選手が自分で考え行動することを求める。「〜しなさい」と言われて動く選手より、自主的に動く選手の方が習熟が早いと考えている。

鳩山町との関係

須江監督は生まれも育ちも埼玉県鳩山町で、町内の公立小中学校で学んだ後に地元を離れている。地元では中学卒業生として著名であり、町の広報誌などでも紹介されている。例えば、鳩山町発行の広報誌「広報はとやま」2024年1月号では、町長の対談企画に須江監督を迎え、教育論や郷土・鳩山町への思いを語った記事が掲載されている。また2023年12月2日には町文化会館で開催された「鳩山町人権問題を考える町民の集い」において、須江監督が講演を行い（本人の生い立ちや指導哲学などを紹介）、参加者から好評を博したことが報告されている。

さらに、地元の少年野球チーム「鳩山リトルシニア」や町主催の少年スポーツ教室にも定期的に参加し、基礎技術指導や夢を語るトークイベントを企画するなど、次世代育成に貢献している。毎年夏には母校である松栄小学校でクリニックを開き、地元の子どもたちに野球体験の場を提供。鳩山町スポーツ振興計画のアドバイザーとしても活動し、町民に対するスポーツ教室や講演会を通じて地域の健康増進や青少年育成に寄与している。全国的な成功を収めた地元出身の指導者として、須江監督は鳩山町からの期待と誇りの対象となっている。

参考文献：須江航氏および仙台育英高野球部に関する新聞・雑誌記事および仙台育英・鳩山町公式資料を参照して作成した。